
今はもう糖尿病と歯周病に密接な関係があることを否定する人はいません。
でも10年前は、内科の先生にも歯科の先生にも、この関係性はあまり知られていませんでした。
6年ほど前になりますが、私は実際にこの関連をはっきりと知る機会がありました。
それは、前歯の見た目が気になるからと、娘さんのご紹介で来られた高齢の女性の方です。
前歯の治療は、難しくない治療だったのでお引き受けしましたが、歯周病がひどく、歯周病の治療をどこまでやるのかと悩みました。
なぜなら、お住まいが九州の福岡で、治療のたびに飛行機で通わなくてはいけなかったからです。
歯周病の治療はすぐに終わるものではないので何度も通わなくてはいけません。
年齢のこと、距離のことも考慮しました。
でも、現状をご説明して歯を長持ちさせるために歯周病治療も必要ですと申し上げました。
さすがに何度も福岡から通ってほしいと言うには勇気がいりました。
ちょっと、患者さんも考えていましたが、
「歯周病治療もお願いします。」
そうおっしゃっていただけたので、治療を開始しました。
そして、歯周病治療も終わり、前歯もきれいになって治療が終わりました。
それから4か月ほどたって検診に来院されました。
すると、通っていた内科で、ずっと糖尿病の数値がよくなかったのに、定期検査で正常になったというのです。
もちろん糖尿病の治療を考えていたわけではなかったのでサプライズでした。
この時初めて糖尿病と歯周病の関連を実感しました。
娘さんも喜んでくださり、なにより
「福岡でのお母さんは前歯の見た目が嫌で、外に出ないで引きこもりがちだったのが、いまでは、すごく元気になって友達とカラオケを楽しんでいます!」
とのことでした。
体の健康と心の健康を手に入れることができて、楽しく暮らせるようになったとお聞きし、本当にうれしく思いました。
皆さんも、歯周病かな?と思ったら、すぐに歯医者さんに相談しましょう!
