悪玉トリオ「レッド・コンプレックス」その1

このコラムは、私が勉強して日常の診療の中から感じていること、新しく勉強したことなどを書いています。これらはあくまで私見ですが、皆様の日々の健康増進に役立てば幸いです。


子供の時には歯周病じゃなかったのに、大人になるとなぜなっちゃうの?

子供の時よりまじめに歯ブラシしているのに不思議!


まだまだわかっていないことはありますが、その理由が近年だいぶ解明されてきました。

以前は10数種類くらいの歯周病の原因菌が関与して歯周病が悪化してゆくと考えられていました。

今は、歯周病菌の悪玉トリオみたいな3種類の菌が原因として特に注目されるようになりました。

これらは、『レッド・コンプレックス』とよばれています。

中でも特にP.g菌は最強で、ピラミッドの頂点にいます。

図1 レッド・コンプレックス
図1 レッド・コンプレックス

歯の周りの細菌、いつも住んで共存している集合体を「マイクロビオーム」といいます。良い菌も、悪いことする菌も一緒に住んでいる常在菌たちです。


生まれたときには、これらの歯周病菌はお口の中に存在していません。

どこからか、誰からか?感染するのです。

レッド・コンプレックスの感染時期は中学生から18歳くらいの間といわれています。

20歳になると、おおよそお口の中の細菌の定着する種類が決まってマイクロビオームが完成します。

しかし、すぐに歯周病が発症せずに中年ころまで長い発症の時を待っているのです。

図2 歯周病マイクロビオームの完成
図2 歯周病マイクロビオームの完成

なぜ中年すぎると発症する人が多いのか?

実ははっきりとした理由はまだわかっていません。

不十分な歯磨、加齢ともいわれ、何らかの条件により、マイクロビオームのなかの菌のバランスが崩れると悪玉レッド・コンプレックスたちが元気づいて歯周病を発症します。

菌同士でお口の中で勢力抗争いしているみたいですね。


続きはまた次回!

みなと歯科院長 工藤 仁
みなと歯科院長 工藤 仁